Seventy-five O'clock Jump

毎日おもしろいこと書けるほど星のめぐりはよくないんですよ。

失恋と編み物の話

彼岸もすぎて、ようやく日中の暑さも落ち着いてきまして、今年もまたこの季節がやってきました。皆さまご無沙汰しております、ヤマテマニットラボ主任研究員の yamatema です。去年の秋にカーディガンを編まんとして毛糸を10玉ほど買ったまま、早いもので1年が過ぎようとしています。困りましたね。

 

さて、もう一つ困ったことがあります。

 

今年の春、わたくしはとある女性とお付き合いしていまして、その方に向けて帽子を編むことにして、一緒に毛糸を選んで購入したのですが、ほどなくして破局となり、どうしようこれ……といった問題を、当ニットラボは抱えております。

編んで帽子にしてしまったわけではなく、毛糸玉の状態ですから、何か他のものにすれば気が紛れるのではないか……と皆様お考えかもしれませんが、残念ながら、件の破局はいくばくか痛みの伴うものであったため、その毛糸玉にも幾分の思念が残ってしまっており、編んでいる間ずっとあの日々を思い出すことになって精神衛生上よろしくない。死ぬ。ではどうしましょう。

 

そうです。心の整理をつけるのです。あの素敵な、物語のようだった数か月に感謝し、咀嚼し、適宜唾棄し、血肉とするのです。そしてその頃には、この毛糸玉は他の毛糸玉よりほんの少しだけ重い、ただの毛糸玉となってくれるはずです。もしこれから先、例えば2年の月日が流れ去り、わたしが街でワインレッド色のニット帽をかぶっていたのなら、ひとつ大人になったのねとご評価くださいまし。